
Design Sketch 007として、「ひとけい hitokei / sun clock」をつくった。世界の首都の日の出と日の入りを知らせてくれる時報、「日」時計だ。
日の出と日の入りに合わせて、世界最大規模の写真投稿サイト「Flickr」から各都市の日の出や日の入りの写真を取得し、スライドショーする。日影線の移ろいとともに、世界の白らむ風景、赤く染まる風景を旅することが出来る。
時報って、何だろうか。
自分たちが時として刻んでいるのは、人間の都合での刻み。世界にはもっと多くの刻みがあるのではないだろうか。その刻みの一つが、毎日必ずやってくる日の出と日の入り。それを知らせることは、人間の都合からすると、「無意味な時報」かもしれないが。
谷川俊太郎の「朝のリレー」にあるように、今、こうしているときにも、どこかの街で日が昇り、日が沈んでいる。自分たちにとっては、一日一回であるかもしれないが、世界では、絶え間なくその刻みが生まれ、同時に私たちはそれを共有している。
不思議なことに、人というのは、その美しい光景を切り取ろうとする。Flickrには、多くの日の出、日の入りの写真が投稿されている。この写真たちが「リレー」したらどうなるのだろうか。試しに、いくつかの都市の名前と日の出と日の入りの写真を検索したときに、その姿を思い描いて興奮を覚えた。
そして、同時に衝撃もあった。
きらきらと光る高層ビル。注がれる朝の光より眩い笑顔。陰影を空に残す山々。その一方で、夕日に赤く染まる戦車と兵士。日の元で、私たちは、平等ではなかっただろうか。
日の出、日の入りというあまりにも何気ない出来事が、見えなかった今日の出来事を映し出す。
群衆の叡智といえる多くの人々が作り上げるボトムアップコンテンツと、地球と太陽の動きがシンクする、地球サイズのクリエイティビティのヴィジュアライゼイションかもしれない。
と言いますが、世界の都市の日の出、日の入りをカフェでだらぁと眺めてたら、素敵なことが起こるかも…、と思ったのが約3年前。妄想をかたちにしてみました。