谷中
今週は、ほとんど仕事と寝るだけの生活を過ごす。あっという間に一週間が過ぎた。それではいけないと、天気も良いので、前から行こうと話していた谷中のギャラリーへと向かう。
上野御徒町で降りて、不忍池をたどりながら、根津の方へ。池には、蓮の殻が無数に浮かんでいた。やはり水があるかだろうか、水鳥がたくさんいる。彼らの軽快なポップな動きを見ていると、心が和らぐ。
谷中に行くのに、根津へと向かったのは噂に聞いていた美味しいどん屋があると言うから。美味しいだけではなく、お店の構えも良いと聞いていた。
「釜竹」。行ってみると噂通りの蔵が建っている。尋ねた時間帯は、ちょうど日が建物へ正面に差し込んでくる時間帯だったので、写真にその重厚感が出ていないが、珍しい黒い煉瓦造りの蔵だ。入ると、高い天井の梁が印象的。
熱々の釜揚げをいろんな薬味と一緒に。タレを付けなくても、とても美味しいうどん。讃岐とは違う繊細な感じを受けるうどんだった。
そこから、またまたてくてくと、お目当てのギャラリーがある谷中へ。さすが、文豪が愛した街だけあって、今も古い建物が残っている落ち着いた界隈だ。
東京に良くある銭湯である。しかしながら、ここが今日のお目当てのギャラリー。この懐かしい銭湯という建物をギャラリーにしてしまったのがSCAI THE BATHHOUSE。中に入ると、きっと前はここに脱衣所があって、番台があったんだろうなというところに受付兼オフィススペースがあり、風呂場があったところが展示スペースになっている。コーヒー牛乳を飲みたくなるような痛快さがある。会心のリノベーション。
遊び心も利いている。
銭湯が懐かしいと書いたが、恐らくこういった造りの銭湯は、盛岡にはないと思う。きっと、メディアによって刷り込まれたイメージなのだと思う。何でも、宮大工職人が銭湯も手がけるようになって関東を中心に広まった銭湯の典型がこういった、不思議に豪勢な造りなのだという。
展示を見終わり、谷中コーヒーをすすりながら、谷中銀座へ。東京でも有名な商店街らしい。この界隈何とも懐かしい雰囲気がする。風格は違いがあるのかもしれないが、なんだか盛岡の河南地区の界隈を歩いているような感覚を覚えて、自分にはとても居心地が良かった。気が付くと、このあたり家賃どれぐらいだろう…と考えはじめている自分が。
日本人は、白い無垢な物が好きだ。だからなのか、機能が変わると、建物を一から造り替えるのが好きだ。一方の欧米人は、惰性なのか、何なのか、ずるずると同じ建物を使い続ける習性があるように思える。だから、リノベーションと言いながら同じ建物を何にでも使ってしまうところがある。しかしながら、日本人も、ソフトウェアオリエンテッドなハードウェア利用の達人でもある。一つの部屋が寝室にもなればリビングにもなる。どうも、日本人は部屋の使い方が得意でも、建物自体になるとそうでもないのか。
今日見てきたいずれの建物の利用方法は、素敵であった。もしかして、こういう建物利用は、大きな日本の歴史の中から見れば、新しい潮流になるなのだろうか。だとすれば、大切に伸ばしていきたい「文化」だと思う。