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2006.11.23

ご飯茶碗を持ってデザイン

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自分が参加するELPで、今月頭から「旬和弁当」というのを大手町カフェで企画・販売している。「旬和」という言葉には、旬産旬消、地産地消の意が込められている。このお弁当、例外を除いて、すべての食材の生産者を知ることができるお弁当である。パッケージに表記されているQRコードをケータイで読み取ると、生産者の顔を見ることができたり、お弁当を作っている人たちの思い入れなどを読むことができる。また、これらの食材はすべて国内産で、できるだけ関東圏で作られた食材を集めている。東京での地産地消だ。ちなみに、「旬和」というのは、ボクのネーミング。

食べ物は、いずれにしてもどこからから運ばれてくる。その為、輸送距離が長かったり、飛行機を使ったりすると、食べ物を運ぶCO2の排出量も変わってくる。電気をこまめに消すよりも、地産の物を食べた方がCO2の排出量を下げることができたりもする。そう言った、食べ物の輸送における環境負荷をフードマイレージという概念(単位)で表現することもできる。ANAのマイレージは貯めると嬉しいけど、フードマイレージはあまり貯めたくない数字である。僕らは、今回、生産者情報だけではなく、これらのフードマイレージも算出したお弁当にしている。

ちなみに、週替わりのこの旬和弁当。1週目の食材の輸送距離をすべて足すと、国内産の食材を使っている旬和弁当の場合、地球を0.2周ぐらいなのだが、輸入産にすると、なんと3周強分もの距離になる。今回、自分は、これらのデータを表示するインタラクション展示を行っている。

生産者情報をトレースできるようになっています、と簡単に言えるが、この作業はとても大変。週毎にレシピが変わるので、その度に、食材の調査・再計算を行うのだが、これがなかなか大変な作業。アメリカの地域によっては、こういったトレース情報の可視化を行っている食材は、その分上乗せの価格で売られているらしい。それぐらい大変ではあるが、重要な情報である。

実際問題、これぐらいのコストを掛けないと、正直に申して、自分たちの食べているものがどこで作られているのかを知ることができない時代と言っても良いだろう。自分は、そのことは怖いことだと思っている。自分の体、いや自分の人生と大きく関わる部分のことについて、僕らは何も情報を得ることができない不自由な時代を生きているのだ。なんと、恐ろしいことや。

生活に活きる情報デザイン。ここにあると、自分は思うのだ。


と、いろいろと綴ったのだが、今回のお弁当にも、山形村の短角牛、三陸の魚介類が使われている。考えれば、雑穀のご飯とか、岩手の野菜を使ったり、肉や魚を使ったメニューなどをこういった情報デザインで、魅力的に伝えることができたらなんと素晴らしいことかと思う。こういうデザインワークは、大都市よりも地方で求められることなのかもしれない。

30までに鎌倉にお引っ越し。ほんでもって、40までには、地方における情報デザインに真剣に取り組みたい。都市における情報デザインなんて、ほっておいても誰かがやってくれるというのがあるが、地方はそうも行かないのではないか?と思っている。

と書きましたが、旅費を頂ければ、今すぐ、どこにでもデザインしに行きます。ご飯茶碗と箸を持って。