触発
普段は、一人でこもって考えに考えて、それからスタッフと共有することが多いのだが、試しにフリーハンドな状態でディスカッションをしてみた。悪くはないが、なんだか居心地が悪い。なぜだろうか。
友人と話している時に、デザイナにおける作家性という話が出た。作家性というとアーティストの話しように聞こえてしまうが、言い換えれば個性のことで。それは、自分にしかできない表現をとことん突き詰めた先に作家性、つまり、その人らしさというのが出てくるのではないだろうか。
「議論のたたき台」という言葉がある。ミーティングの際に、資料を配布し、これを基に考えて頂きたいと方向性を提示する。個人的に、この「たたき台」が概ね決めることが多いのではないかと思う。その「たたき台」に触発され、各々が自分の持つアイディアを付加していく。丁寧に考え抜かれた「たたき台」は、より強い触発を生むように思う。
チームを率いる場合でも、そこには先頭に立つ人間の作家性が出ることが多いのだが、それはやはり、提示されるべき方向性に左右されるものなのかもしれない。
トップダウンって、あまり好かれない印象があるが、トップダウンが無ければボトムアップも無い。