[ND]木の絵本
遠野の青唐辛子をもらった夜に、遠野からクリエイティブなニュースが飛び込んで来た。
遠野市内の会社経営者や元幼稚園教諭、Iターン者、フリーライターら男女5人でつくる「もくもく絵本研究所」(前川敬子所長)は、遠野産の木を材料に子どもたちが安心して遊び、学べる知育玩具「木の絵本」を商品化し、4月中旬にも販売を始める。遠野の人材、資源にこだわり、生産、販売まで地域で手掛けた内発型新規起業として、注目を集めそうだ。
このニュースには、いくつか、自分にとって興味をそそられる要素がいくつかあるのだが、まずは「積み木」であること。ここ最近、個人的にも積み木は気になっている。とても、単純で頑丈であるが、とてもクリエイティブな玩具である。それと同時に、レゴブロックなどと違い、簡単に倒れてしまう脆い構築物でもある。子どもにとって、大胆に組み立てられ、慎重に積み上げるということを感じ取る、非常にセンシティブなおもちゃでもある。そこに、物語性が発生するのが、この木の絵本。
キューブの6面にそれぞれ▽誰が▽どこで▽何を▽どうした-を絵と文字でデザインした4体1組の「だれがどすた(だれが、どうした)?」は組み合わせで1296通りの話が出来上がる。
LEDとICチップを組み合わせたキューブ状のオブジェクトを組み合わせて、様々な伝達表現を作り上げるガジェットがこのところ注目を集めているが、このプロダクトは、その原型とも言える素朴さを持っている。そして、アナログであるのに1296パターンもの、ストーリーが生まれる仕掛けがあるのだ。なんと、子どもに与えるべきおもちゃなのか。
このプロダクトを開発した面々のプロフィールも特筆に値すると思う。
商品化のために遠野商工会などが新規起業を支援する遠野地域ビジネス支援専門委員会に起業化プロジェクトとして提案。05年から東京の児童書取扱店などで市場調査を実施したほか、昔話研究所の小沢俊夫所長や工業デザイナーの安次富隆さんら専門家の助言を仰ぎながら試作、検討を重ねてきた。
こういう動き、大好きである。今後も、プロジェクトを進めて第2弾、第3弾を生み出して行きたいとのこと。とても期待したいと思う。なんだか、昨年の「てくり」が発刊された時のような期待感を個人的に持ってしまった。
さて、本日のデザインパラダイスは、偶然にも「積み木」がテーマだった。なんと奇遇な。