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2002.12.19

「ありがとう」

僕は、手を合わせてそう言った。

友人で、僕の作品「my ID」にはモデルとして、「relation」では撮影の手伝いをしてくれた大原志津香さんが亡くなった。本当に、突然のことだった。最初にそのことを聞かされても、なんのことかさっぱりわからなかった。何しろ、24歳の若さだし、死因もはっきりせず、床についたまま逝ってしまったのだから。
お通夜の時に見た顔は、まるで眠れる森の美女のよう。「my ID」を見てくれればわかると思うが、きれいな人だった。みんな、口々にそう言うし、みんなから愛される人柄だった。

みんないろんな人生経験をしているのだろうけども、僕の場合同じ年頃の身近な人が亡くなるのは、初めてに近い。ショックというか、やるせないというか、切ないというか、言葉にできない出来事。

確かにわかっているんだ。死について。彼女の死について。でも、感情面では未だに理解していないような気がする。葬式に、彼女の教え子たちも来ていた。彼らは、いまどうやってこのことを捉えようとしているんだろう。22歳の男ですら、整理ついていないことなのに。僕が、そこらへんの把握能力が乏しいのか。

遺された彼氏の気丈さというか、このことを理解しようとしている姿を見ると、なんだかなぁって思う。でも、話を聞きながら良い男だなって思った。余計に悔やまれる。自分が生きることで、心の中で彼女は永遠に生き続ける。そう、彼は言う。なんだかなぁ、なんだかなぁ。

僕は、最後に彼女にこう言った。

「僕は生きて映画を撮ります」

生きることって大切なことなんだ。そう、僕は改めて思った。

生きよう。